ナンバンギセル自生地にて   「寄生」って聞くとなんだか気味悪いですが
  とってもかわいいお花です。
  万葉集でも読まれていたらしく(思い草)
  古くから日本人に好まれていた
  のでしょう。

  三重県にて撮影しました。
  アシやススキ等が混在しているところに
  こっそりいました。
ナンバンギセル花の正面   花を正面から撮影しました。
  少しぼやけていますが、中にある
  黄色の丸いものは雌しべの柱頭です。
ナンバンギセル
ハマウツボ科の超有名な寄生植物で日本中に分布しています。ススキ、ミョウガ、サトウキビの根によく寄生しますが、他にもギボウシ、ヤマノイモなどにも寄生するそうです。宿主植物の根に軽く乗っかるように極短い茎がくっつき養分を吸収しています。その短い茎の部分をよく見ると狭三角形の鱗片葉が数枚ついています。夏にこの茎から20cmほどの花茎を伸ばし先に1個淡赤紫〜赤紫色のかわいいお花を横向きにつけます。花後に黒褐色の実ができ、中にホコリの様な黄色い種子をたくさん作ります。種子は風によって運ばれ新たな宿主植物の根に運よくたどり着かなければ生きていけません。一年草ですが、種子の寿命が長いのか新たに種子を播かなくても同一宿主から突然出現することもあります。
かわいらしく育てやすいので、最近はホームセンターでも売られているのをよく見ます。
サトウキビ畑では時々大発生し被害を与える害草として嫌われています。
似た仲間にオオナンバンギセルがあり、こちらは萼の先が尖らず、花びらの縁に細かい鋸歯があります。

栽培は、元気な宿主植物を用意します。もっともよく使われるのはヤクシマススキ(極小型のススキ)で花時に風情よく似合います。春か秋に、宿主植物の根に直接ナンバンギセルの種子を擦り付けて土を薄くかけるだけですが、種子が水遣りなどで流れてしまいやすいので、ケト土で作った小さな玉の表面に種子をまぶして、これを宿主植物の根に触れるように浅く埋め込んでおきます。宿主植物が元気に育つように管理してあげれば夏に花茎を伸ばし開花してくれます。あまりにたくさんナンバンギセルを咲かせると宿主植物が弱り枯死することもあるのでほどほどにしましょう。また、あまりに多湿で管理すると失敗することもありますので適湿を心がけましょう。
一年草なので種子は必ず採っておきましょう。


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