ヤクシマヒメアリドオシラン
長野県、愛媛県、高知県、鹿児島県、沖縄県の常緑樹林下に生える小型の地生ランです。とても小さな植物なのでみつけにくく、詳細に調査すれば分布域はより広がるかもしれません(私は奈良県と和歌山県で自生を見ています)。
濃緑色の小さな葉を数枚つけ、夏に花茎を伸ばし白い小花を咲かせます。
地下には這う茎があって節があり、その節から新たに茎を分枝し増殖します。ひも状の根はなく地下の茎の節から直接根毛を出したり、極短い突起状の根を出したりします。
「アリドオシラン」と名がついていますがアリドオシラン属(Myrmechis属)ではなくハクウンラン属(Vexillabium属)の仲間です。
現在、 日本には同じ仲間にハクウンラン(ムライラン・イセランを含む)とオオハクウンランが知られていて、どちらもヤクシマヒメアリドオシランによく似ており、花の唇弁(リップ)の裂片が尖っている(平行四辺形を二つ並べたよう[初心者マーク型]に見える)のがヤクシマヒメアリドオシランで、葉がこの仲間の中ではもっとも小さく唇弁(リップ)の裂片が四角っぽい(四角形を二つ並べたように見える)のがハクウンラン、花はハクウンランと同じで葉が比べて大きいのがオオハクウンランとされています。ややこしいですね。
栽培は、比較的簡単です。直射日光の当たらない湿度の高い場所で管理します。年中水切れしないよう用土が常にしっとり湿っているようにします。植える用土はミズゴケ単用でやわらかく植え込むと作りやすいです。ただしミズゴケが傷んできたら早めに新しいミズゴケで植え替えてあげましょう。夏は蒸れに注意しましょう。冬の寒さにはほどほどに耐えますが産地によっては寒さに弱い場合があるので保護してあげるほうが安心です。ナメクジ・カタツムリの食害には注意しましょう。
増殖は、順調に育てば茎が分枝しよく増えてくれます。
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